2025年09月11日
バンク・オブ・アメリカ:米国人の懐事情に問題なし!
ソン・リュンス
米国の経済専門誌バロンズ(Barron's)とのインタビューで、バンク・オブ・アメリカ・インスティテュートを率いるリズ・エベレット・クリスバーグ氏は、同行の取引データを基に分析した結果、「米国の消費者は非常に高い回復力を見せている」としつつも、「見方によっては手放しで喜べる状況ではない」との総評を述べた。つまり、米国人は消費者信頼感指数の調査回答よりもはるかに強固な財政的余力を持っているものの、過度に楽観視することはできないというのが核心だ。
まずクリスバーグ氏は、中低所得層の銀行残高が2019年比で約50%増加しており、インフレを考慮しても約25%高い点を強調した。これはパンデミック以降、低賃金労働者の賃金上昇率がインフレ率を大きく上回るペースで増加したためだと説明している。彼女はまた、「過去20年間、米国経済の重要な指標とされてきた『消費者信頼感指数』は、米国人の実際の支出行動を説明できていない」と述べ、ここ数年の継続的な景気後退懸念にもかかわらず、消費支出は一定水準を維持していると付け加えた。
バンク・オブ・アメリカのカード決済データによれば、最近では高所得層の米国人もまた、プレミアム消費財を中心とした消費習慣からコストパフォーマンスを重視し始めており、これは最近、安価な製品を主力とするディスカウント小売業者が予想外の好業績を上げていることでも確認できる。その一方で、旅行やライブコンサートなど体験型消費への支出は維持、あるいは増加し続けている。
前回のモデルポートフォリオのアップデートで、筆者は「信用の供給は依然として問題なく行われており、家計の消費余力の根幹となる労働市場において失業率(4.2%)は今のところ良好だが、新規求職者が職を見つけるのはますます難しくなっている」と説明したが、先週発表された失業率は4.3%とわずかながら上昇した。また、昨日発表された米国労働統計局の予備データは、今年3月までの1年間における雇用者数増加の従来予想値180万人を90万人に下方修正しており、実際には今年初めから米国の労働市場が急速に冷却化していたことを示唆している。
これはクリスバーグ氏が公開したバンク・オブ・アメリカのデータとも一致している。彼女はバロンズ誌のインタビューで労働市場について、「転職者数が急激に減少し、転職による年収上昇率も微々たるものであり、職歴のない新規求職者の場合、労働市場への参入が非常に困難な状況だ」とコメントした。しかし、採用サービスに対する中小企業の支出は維持されており、労働需要が崩壊中、あるいはその直前にあると解釈するには無理がある。
雇用市場を含む米国経済が全般的な弱含みに転じる兆候が見られる中、投資家の間では、トランプ大統領から政策金利引き下げへの公然たる圧力を数回受けている米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が、9月から利下げに踏み切るとの期待感から、S&P 500など主要指数の高値を徐々に切り上げているとの解釈が支配的だ。
米国最大の銀行JPモルガン・チェースのトップであるジェイミー・ダイモン氏は、これに先立つ労働統計局の発表値についてCNBCとのインタビューで、「私は(米国)経済が弱まっていると考えている」としつつも、「直ちに景気後退につながるかは予測が難しい」と慎重な姿勢を崩さなかった。
もう一つの大手銀行ゴールドマン・サックスのCEO、デービッド・ソロモン氏は、ブルームバーグとのインタビューでダイモン氏と同様に、「経済は明らかに弱まっており、雇用市場のデータを非常に注意深く観察する必要がある」と発言した。彼は先週、「現在の投資家のリスク心理を考慮すれば、今の政策金利が米国経済にとって制限的な水準にあるとは言い難い」と述べ、投資家心理が非常に高揚していることを強調した。
米国企業の今年第2四半期決算はウォール街のアナリスト予想に比べて良好な成果を記録し、4月初めのトランプ大統領発の「リベレーション・デー(解放の日)」暴落から完全に回復したが、関税リスクと不確実性は依然として存在し、経済が全般的に弱体化する兆候が確認されているため、こうした基調が維持、あるいは加速することへの警戒が必要だと考える。
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