リサーチ

2025年11月17日

ストラテジー、しかし投資家のための戦略は(抜きで)

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ソン・リュンス

Strategy Inc.의 주황색 브랜드 마크.

MSTR = ビットコインを原資産とする金融商品

今年の2月にマイクロストラテジー(MicroStrategy)からストラテジー(Strategy)へと社名を変更したこの「ビットコイン資産信託企業」は、多様な方法で負債を調達し、ビットコインを購入する事業を運営している。元々はソフトウェアの開発・販売を行っていた企業だが、ある日、創業者のマイケル・セイラー(Michael Saylor)が突如としてビットコインの無限の可能性に魅了され、会社をビットコイン購入マシンへと変貌させたのだ。もちろん、まだソフトウェア事業部は存在するが、ビットコインの資産規模に比べれば極めて微々たるものである。

STRF – Long Duration Senior Credit | 出所:ストラテジーウェブサイト
STRF – Long Duration Senior Credit | 出所:ストラテジーウェブサイト

ストラテジーの戦略は、ビットコインへのエクスポージャーを提供する多様な投資商品にある。同社のウェブサイトを訪れると、普通株であるMSTR以外にも、STRD、STRK、STRE、STRC、そしてSTRFなど、多様な種類の優先株を発行しており、「クレジット(Credit)」という単語を付けてあたかも債券であるかのように販売しているが、これは技術的には完全に誤った表現だ。優先株は普通株に比べて優先権を持つものの、債券はすべての株式(エクイティ)に対して優先権を持つからである。基本的に、債券 > 優先株 > 普通株の順に分類され、債券や優先株の中でも権利に差をつけて発行することができる。経済ニュースでもよく目にする先順位・中順位・劣後などの単語は、債券におけるこうした権利関係を表している。

あなたには売らないストラテジーの債券

ストラテジー転換社債リスト | 出所:ストラテジーウェブサイト
ストラテジー転換社債リスト | 出所:ストラテジーウェブサイト

優先株以外にも、ストラテジーは数回にわたり転換社債を発行し、総額82億ドル規模の資金を調達した。転換社債(Convertible Notes)とは、普通株に転換できる権利が付与された債券のことだ。転換条件や発行者・債権者の権利は設定次第だが、発行当時の市場環境に大きく影響を受ける。

「Convert 2030 B」転換社債は、利息を支払わない条件で、当時の株価に対し35%のプレミアムを上乗せした価格で普通株への転換が可能となっているが、債券投資家がなぜそのような商品に投資するのか分析してみよう。ストラテジーの転換社債は、すべて私募形式で募集され、適格機関投資家のみに販売された。当然ながら、債券に専門的に投資するファンドを運用する機関投資家は、株式やビットコインのように変動性の高い資産には投資できないケースが多い。それにもかかわらず、ビットコインの価値上昇にエクスポージャーを持ちたいと考える投資家たちが、ストラテジーの転換社債の買い手となっているのだ。投資家の立場からすれば、先順位債券を購入しているため元本割れの可能性は極めて低く、ビットコイン価格が低迷して普通株であるMSTRの株価が上がらなかったとしても、満期に元本が償還されればそれで済む。もしビットコインが急騰し、MSTRの株価が5倍になったと仮定すれば、株式に転換することで、一般的な社債に投資するよりもはるかに高い収益率を実現できる。結果として、ビットコインの高い変動性は避けつつ、収益は確保できる機会となっているのである。

MSTR詳細指標 | 出所:ストラテジーウェブサイト
MSTR詳細指標 | 出所:ストラテジーウェブサイト

最近のビットコイン暴落の流れの中で、MSTRはさらに速いスピードで下落し、mNAV(純資産価値倍率)が1を下回ったという記事を多く目にする。mNAVとは、企業価値(普通株時価総額 + 優先株時価総額 + 総負債 - 保有現金)を保有ビットコイン価値で割ったものであり、この数値が高いほど、MSTRが投資家に提供する「付加価値」が高く評価されていることを意味する。1を下回ったのは、ストラテジーが2020年にビットコイン信託企業へと転換して以来初めてのことであり、それだけ投資家の懸念が深刻であることを示しているという。

そういう使い方じゃないんだけど…?

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