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2022年12月05日

不況下でも成長する半導体企業:AMDである理由(後編)

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ソン・リュンス

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まず、半導体市場が直面している問題を把握するために、前編の内容を振り返ってみよう。

1万人以上の従業員を一斉に解雇したメタ(META)をはじめとする多くのテクノロジー企業は、リストラとともに様々な分野で支出を削減しようと努力しており、データセンターやサーバーといったハードウェアもその対象にならざるを得ない。2019年、AWSサーバーの会計上の耐用年数(useful life)は3年だったが、2022年に入ってからは6年に延びてしまった。会計上の耐用年数を延ばしたのには、2つの理由があると推測される。

第一に、ハードウェアの進化速度が速くなかったことだ。データセンターを建設する際には、CPUはもちろん、DRAMやNANDなどのメモリ半導体、空調設備、地価、電気料金など様々な変数が考慮されるが、CPUの進化速度が遅かったため、新型CPUに交換する必要性を感じなかった企業が多かったのだ。

ハードウェアの進化速度が速くなかったというのは、半分は嘘だ。

正確には、インテル(INTC)のx86ベースCPUの進化速度が非常に遅く、AMDの進化速度は非常に速かったものの、様々な理由によりデータセンターから選ばれてこなかったのだ。これまでは。

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第二に、コスト削減に役立ったことだ。データセンターやサーバーなどは代表的な設備投資項目である。設備投資項目は、まず現金が支出されるが、会計上は多年にわたって費用として処理される。ところで、3年間に分けて支払っていたものを6年間に分けるならば、表面上の費用支出は2分の1になる。

AMDの半導体がこれまでデータセンターやサーバーに採用されなかった理由は何だろうか?

互換性

同じx86系列ではあるが、AMDとインテルのCPUの動作方式には、微細ではあるが設計レベルで違いがある。究極的には、AMDの市場シェアが低かったため、ソフトウェア開発会社がAMDチップへの最適化を疎かにしていたというのが、より適切な表現かもしれない。

性能やエネルギー消費も重要だが、安定性が最優先事項であるサーバー用半導体の特性を考えれば、企業が軽率にAMDに乗り換えられなかった理由がわかる。

供給

AMDは自社工場を持つインテルとは異なり、生産量の全量をTSMCに外注している。しかし、TSMCの第1位の顧客はアップル(APPL)であり、AMDは重要な顧客ではあるものの、超微細プロセスにおいて十分な供給を受けられておらず、実は今もそうだ。しかし、TSMCが最先端の微細プロセスへの投資を拡大するにつれ、供給量はますます増えている。

問題は、ハイエンド市場、つまり高性能市場において、インテルが提供するサーバー用CPUを選択する理由がもはやないという点だ。

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AMDの資料によれば、インテルの最上位CPUである第3世代Xeon Platinum 8380を2基組み合わせても、AMDのGenoa EPYC 64コア・サーバー用プロセッサ(ミドルレンジ)の性能には及ばない。

性能面ではコストパフォーマンスが2倍、エネルギー効率面では25%低い消費電力で同等の性能を実現しているということだ。

これほどの格差は、ハイエンド・サーバー用CPU市場を(少なくともx86アーキテクチャ内では)AMDが独占することを示唆している。

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SemiAnalysisがMercury Researchから集計したデータによると、x86サーバー用CPU市場におけるAMDのシェアは、2020年の6.3%から2022年第2四半期には13.9%へと、2年間で2倍以上に拡大した。

さらに注目すべき点は、ASP(Average Selling Price、平均販売単価)である。

ASPの推移を見ると、AMDは2021年第1四半期を起点に持続的な上昇トレンドにある一方、インテルは横ばいで推移した後、2022年第2四半期に入って急落している。

インテルは性能や電力効率の面で太刀打ちできないため、価格競争という戦略をとっているが、価格で勝負する企業の利益率(マージン)がどうなるかは、読者の皆様ご自身で確認していただきたい。

そのため、売上高ベースのシェアは、出荷台数ベースのシェアのほぼ2倍に近い22.9%を占めている。

これは新型サーバー用CPUであるGenoa(第4世代)が発売される前の数値であるため、AMDのASPは今後も継続的に上昇する可能性が高い。

これが、売上高ベースで今後2年以内にシェア40%の達成が可能だと考える背景である。

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