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2024年08月05日

配当利回りの高い米国配当株トップ10

ペ・ソンウ

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米国株には興味があるけれど、その中でも配当株が気になっているということですね?

四半期ごとに企業が稼いだ利益を受け取っていると、「ああ、これがお金がお金を生むという感覚か」と実感することもあるでしょう。

そこで、米国で配当利回りが高い企業について調べてみました。

ちょっと待ってください。

ただ配当利回りが高ければそれで良いのでしょうか?

配当が高いからと投資したのに、すぐに減配されてしまっては心が痛みますよね。そこで、長期間にわたり増配を続けている企業、つまり50年以上連続で増配している配当王(Dividend Kings)のリストの中から、最も配当利回りの高い米国企業をピックアップしました。


配当利回りの高い米国配当株トップ10

  1. アルトリア (NYSE:MO)
  2. ユニバーサル (NYSE:UVV)
  3. ノースウェスト・ナチュラル・ホールディング (NYSE:NWN)
  4. ブラックヒルズ (NYSE:BKH)
  5. ケンビュー (NYSE:KVUE)
  6. フェデラル・リアルティ・インベストメント (NYSE:FRT)
  7. ユナイテッド・バンクシェアーズ (NASDAQ:UBSI)
  8. スタンレー・ブラック・アンド・デッカー (NYSE:SWK)
  9. ホーメル・フーズ (NYSE:HRL)
  10. アッヴィ (NYSE:ABBV)

TIP

配当利回り:

投資家が株式を取得することで企業から受け取る配当の利回りです。「(1株当たり配当金 ÷ 現在の株価)× 100」で計算され、配当利回りが高いということは、配当による収益が高いことを意味します。

1株当たり配当金:

保有している株式1株当たりに支払われる配当金です。1株当たり配当金が1ドルの株式を10株保有している場合、四半期ごとに10ドルの配当金を受け取ることになります。

配当性向:

当期純利益のうち、配当金として支払われる割合です。「1株当たり配当金 ÷ 1株当たり純利益」で計算され、配当性向が高いということは、それだけ企業が稼いだ利益を株主に還元していることを意味します。業種によって差はありますが、企業は成長の可能性を広げるためにある程度の資金を確保しておく必要があるため、一般的には35%から55%程度が健全な配当性向だと言われています。


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#1. アルトリア(Altria Group Inc.)

  • 配当利回り(dividend yield):7.98%
  • 1株当たり配当金(DPS):$3.79
  • 配当性向(payout ratio):79.4%

マールボロ・カントリーへようこそ」

アルトリアは、タバコおよび無煙タバコ製品を製造・販売し、54年間にわたり増配を続けてきた生活必需品セクターの企業です。主要ブランドには、マールボロ(Marlboro)、ブラック&マイルド(Black & Mild)、コペンハーゲン(Copenhagen)、スコール(Skoal)などがあります。

愛煙家の方なら、ここで「マールボロはフィリップ・モリスではないのか?」と疑問に思われるかもしれません。

はい、アルトリアの傘下企業がフィリップ・モリスです。

最近、アルトリアはFDAからメンソール電子タバコ製品の承認を受け、無煙製品への転換を推進しています。アルトリアのようなタバコ関連企業は、余剰現金の使い道が限られているため、配当に多くの資金を充てる傾向があります。

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#2. ユニバーサル (Universal Corp.)

  • 配当利回り (dividend yield): 6.3%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $3.13
  • 配当性向 (payout ratio): 65.6%

「私たちの土地から世界へ」

ユニバーサルは葉タバコおよび植物由来成分を世界各国に供給する、同様に配当を54年間増やし続けてきた生活必需品企業です。ユニバーサル・スタジオではありません。主にflue-cured、burley、dark air-cured、oriental leaf tobaccoを処理して供給しています。

ユニバーサルもまたタバコ関連企業であり、配当性向が高いことが確認できます。

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#3. ノースウエスト・ナチュラル・ホールディング (Northwest Natural Holding Co.)

  • 配当利回り (dividend yield): 4.9%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $1.91
  • 配当性向 (payout ratio): 81.7%

「より良い変化を。何も変えることなく。」

ノースウェスト・ナチュラル・ホールディングは、家庭や企業に天然ガスを供給し、68年間にわたり増配を続けてきた公益事業会社です。

ノースウェストは2023年末にオレゴン州で新料金プランを導入し、2024年11月1日から発効する予定です。この料金プランが施行されれば、同社はインフラや技術改善への投資コストを回収でき、収益性も大幅に改善されます。

しかし、新料金プランや規制変更が承認されるまでの時間的遅れを意味する規制ラグ(regulatory lag)による根本的な不確実性は、当面の間、株価に影響を与える要因となる可能性があります。

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#4. ブラックヒルズ(Black Hills Corp.)

  • 配当利回り(dividend yield):4.5%
  • 1株当たり配当金(DPS):2.51ドル
  • 配当性向(payout ratio):61.4%

「エネルギーで生活を向上させる」

ブラックヒルズは電気と天然ガスを供給し、54年間にわたり増配を続けてきた公益事業会社です。

エネルギー企業は常に「持続可能な開発」という観点から批判の対象となりがちです。当然のことながらブラックヒルズも例外ではなく、ESGへの取り組みをアピールするため、2024年8月にコロラド州で200MW規模の太陽光発電所に関する電力購入契約(PPA)を締結しました。これはブラックヒルズにとって初の大規模な太陽光発電プロジェクトとなります。

計画上は再生可能エネルギーのポートフォリオを強化し、化石燃料ベースのエネルギー源を代替しようとする姿勢が見られますが、企業にとって再生可能エネルギーへの投資は支出を増やし、株価に影響を与える要素となり得ます。ESGに関する批判と戦略的支出の間で、円満な合意点が見出せることを願います。

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#5. ケンビュー(Kenvue Inc.)

  • 配当利回り(dividend yield):4.4%
  • 1株当たり配当金(DPS):0.59ドル
  • 配当性向(payout ratio):69.3%

「これに勝るものはない。何一つとして。」

ケンビュー(Kenvue)は、日常生活で使用可能な様々なヘルスケア製品を販売し、61年間にわたり増配を続けてきた生活必需品企業です。Aveeno, BAND-AID, Johnson’s, Listerine, Neutrogena, Tylenol…

マウスウォッシュのリステリン、鎮痛剤のタイレノール、絆創膏のバンドエイドなど、私たちに馴染みのある製品が数多くあります。

ケンビューは最近、PAINWeek Conferenceで新しい疼痛緩和製品やリステリンの新しいマウスウォッシュラインを紹介するなど、既存のポートフォリオを発展させつつ、スキンヘルスおよび美容部門への進出を計画しています。

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#6. フェデラル・リアルティ・インベストメント・トラスト (Federal Realty Investment Trust.)

  • 配当利回り (dividend yield): 3.9%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $4.29
  • 配当性向 (payout ratio): 63.5% (FFOベース)

「より明るい未来に向けた行動を」

フェデラル・リアルティ・インベストメントは商業用不動産を所有、運営、開発するREIT(リート)であり、56年間にわたり増配を続けてきました。

リート(REIT)とはReal Estate Investment Trustsの略で、建設および不動産関連事業に投資し、そこから発生する賃料や収益を投資家に分配する投資信託を指します。

リートの配当利回りが高いのは、ある意味当然のことかもしれません。それが法人税の免除を受けるための条件の一つだからです。Internal Revenue Code Section 857によると、リートが税制優遇を受けるためには、課税所得の90%以上を配当として支払わなければなりません。

企業が配当を多く支払うと、成長性が制限されると考えるかもしれません。配当性向が高くなるほど、社内留保率が低くなるためです。ところが、課税所得の9割を配当として支払わなければならないのが法律だとは、企業の成長を望む立場からすれば呆れた話です。

しかし、不動産賃貸収益は比較的安定的で予測可能である点、その安定的なキャッシュフローを担保に低金利での借入が可能である点、資産売却および価値上昇を通じて追加的な資本確保が可能である点から、REITは社内留保率が比較的低くても、持続的な成長および事業運営が可能であることがわかります。

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#7. ユナイテッド・バンクシェアーズ (United Bankshares, Inc.)

  • 配当利回り (dividend yield): 3.9%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $1.43
  • 配当性向 (payout ratio): 52.7%

「あなたのタイミングで、預金を」

ユナイテッド・バンクシェアーズは、50年間にわたり増配を続けてきた金融サービス企業です。

はい、銀行です。他に説明が必要でしょうか?

主に貸出金利収入と金融サービス手数料を通じて現金を創出し、大部分の銀行と同様に、金利が業績に大きな影響を及ぼします。

金利の影響を受けにくい安定した銀行になるためには、非金利収益の多角化が一つの方法となり得ます。

ウォーレン・バフェットが保有しているバンク・オブ・アメリカと比較してみましょう。世界規模の顧客層を対象に投資銀行業務および資産管理を通じて非金利収益を創出するバンク・オブ・アメリカとは異なり、ユナイテッド・バンクシェアーズは地域社会や中小企業を相手に、伝統的な銀行サービスに集中する地方銀行です。

バンク・オブ・アメリカの配当利回りは2.77%です。配当利回りが重要であればユナイテッド・バンクシェアーズを、もう少し安定的な銀行を望むのであればバンク・オブ・アメリカを選択すれば良いでしょう。

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#8. スタンレー・ブラック・アンド・デッカー (Stanley Black & Decker Inc.)

  • 配当利回り (dividend yield): 3.7%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $3.20
  • 配当性向 (payout ratio): -

「ツールボックス(既成概念)にとらわれない、もうひとつの発想」

スタンレー・ブラック・アンド・デッカーは、多様な工具および産業機器を製造・販売し、56年間にわたり増配を続けてきた資本財企業です。

DEWALTやCRAFTSMANブランドを通じて、位置追跡、バッテリー状態のモニタリング、盗難防止などの機能を備えたスマート工具のラインナップを拡充しています。

金属やバッテリー原料など原材料価格の変動に敏感な企業であり、最近はその影響により1株当たり利益(EPS)が赤字となっている状況です。

1株当たり利益がマイナスの状況で配当金を支払う場合、配当性向もマイナス表記となるため、スタンレー・ブラック・アンド・デッカーの配当性向は記載していません。

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#9. ホーメルフーズ (Hormel Foods Corp.)

  • 配当利回り (dividend yield): 3.6%
  • 1株当たり配当金 (DPS): $1.11
  • 配当性向 (payout ratio): 79.1%

「スパムと卵、ビスケットとハチミツ…ワオ!」

ホーメルフーズは、その名が示す通り食品製品を販売すると同時に、58年連続増配を誇る生活必需品企業です。

あの有名なスパムを販売する企業であり、ホーメルフーズも同様に原材料費の高騰に敏感な企業です。

最近では、Planters、Skippy、Corn Nutsなど、コンビニエンスストアに進出しているブランドの製品ラインナップ拡大を試みています。

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#10. アッヴィ(Abbvie Inc)

  • 配当利回り(dividend yield):3.6%
  • 1株当たり配当金(DPS):$6.05
  • 配当性向(payout ratio):180.0%

「アッヴィ - 皮膚科領域へのコミットメント」

アッヴィはバイオテクノロジーおよび医薬品の研究開発・販売を行う、52年間配当を増やし続けてきたヘルスケア企業です。

各種関節炎の治療に使用されるヒュミラ(アダリムマブ)が主要製品ですが…ヒュミラの主要特許は2016年に米国外で、2023年には米国内でも満了したという課題があります。

これにより、バイオシミラー(biosimilar)と呼ばれる後発医薬品が市場に参入できるようになり、アッヴィのドル箱であるヒュミラの売上減少は火を見るよりも明らかとなりました。

アッヴィはこのような売上減少を補うため、リンヴォック(Rinvoq)やスキリージ(Skyrizi)といった新しい自己免疫疾患治療薬を販売し、追加適応症に対する臨床試験を進めています。


ここまで、配当利回りの高い米国のDividend Kings(配当王)企業について見てきました。

賢明な投資家であれば、利回りが高いからといってすぐに飛びつくのではなく、配当投資のデメリットを十分に理解した上で投資判断を下すはずです。

薬を処方してもらう前に副作用を確認するのと同じことです。

詳細は以下の記事をご参照ください

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