2023年02月02日
Snapchat、期待外れの決算を発表した理由:答えはAI
ソン・リュンス
Snapchat(SNAP)は、メッセンジャーを基盤としたソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である。
主に米国のZ世代が多く利用するメッセンジャーであり、初期には写真を送信して一定時間後に消える機能を若者が「セクスティング」に活用したことで、その人気が急速に高まった。
ちなみにセクスティング(sexting)とは、主に自身の性的な部位の写真を共有し、性的なチャットを行うことを指す。韓国ではHyperconnect(Azar:ランダムビデオチャット)が中東で同様のニーズを捉え、大成功を収めた前例がある。
2022年第4四半期、Snapchatは3億7500万人のDAU(Daily Active Users:1日あたりのアクティブユーザー数)を記録し、これは前年同期比で約17%増加した数字である。
SnapchatのDAUだけを見れば、IT企業全般の懸念材料となっている需要の問題はないように見えるが、増加したユーザー数はむしろ会社の業績にとって負担となった(むしろ嫌気されている)。
表面的な理由としては、デジタル広告支出が例年ほどではないためだ。
景気後退、消費者の財布の紐が固くなったこと、金利上昇および将来への不確実性は広告主の財布も閉じさせ、Snapchatは増加したユーザー数が無意味に思えるほど同期間の売上高が全く伸びず、今年第1四半期には2〜10%程度減少すると予想した。
このような売上のマイナス成長は、同社の歴史において初めてのことである。
「Snapは他のデジタル広告企業の指標となっている。昨年、同社はマーケターによるオンライン支出の減速について最初に懸念を表明し、売上減少に直面してコストを削減するために従業員の20%に相当するかなりの数の従業員を解雇した。」
ブルームバーグでは、Snapchatが他のデジタル広告企業の業績を測る基準点になったとし、昨年は通信サービス(デジタル広告)業界で最初にオンラインマーケティング支出の減少に対する懸念を示し、全従業員の20%に達する人員削減を行ったと報じている。
今週は、同じデジタル広告業界であるGoogleとYouTubeの親会社Alphabet(GOOG)や、Facebook、Instagramの親会社であるMeta(META)の決算発表があるが、筆者は彼らの業績がSnapchatよりは良好であろうと予想している。
「インタビューや内部資料によると、人工知能(AI)ツールへの多額の投資により、同社はより少ないデータに基づいてより良い予測を行うための広告ターゲティングシステムを改善することができた。マーク・ザッカーバーグCEOは昨年、同社が『Facebookファーストではなく、メタバースファースト』になると宣言したが、取り組みの大部分は従来のソーシャルメディアプラットフォーム、特にFacebookの最適化に向けられている。」
ウォール・ストリート・ジャーナルがまとめたMetaの内部資料およびインタビューによれば、「AIツールへの相当な投資は、同社がより少ないデータでも効率的な広告ターゲティングシステムを構築することを可能にした」とし、「CEOであるマーク・ザッカーバーグが社名を変更し、メタバースエコシステムへの投資を最優先としたものの、大部分の努力はFacebookを含むソーシャルメディアプラットフォームを最適化することに費やされた」と指摘している。
実際にAlphabetとMetaのAI技術力はシリコンバレー内でも上位に挙げられ、Metaの内部文書によると、AppleのATT(App Tracking Transparency)ポリシー導入以降、広告ターゲティングの精度が低下したことで失われた売上の約8.5%の大部分を回復することに既に成功したことが明らかになった。
特に2023年に入ってからは、より精巧になったAIアルゴリズムと、FacebookやInstagramアプリ内でユーザーが直接反応できる形式の広告を増やしており、個人情報の収集がますます困難になる状況の中でも広告効率を高め、広告主から選ばれる可能性が高まっている状況だ。
Snapchatはユーザー数が増加しているにもかかわらず(ユーザー数の増加はより多くの広告機会を意味する)、遅れをとっているAI技術力のために広告主を誘致する機会を逃しており、今後のデジタル広告市場はAIの先駆者と後発者の格差をより明確に示すものになると予想される。
今週のAlphabet(GOOG)とMeta(META)の決算を注意深く見てみよう。
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