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2022年07月13日

原油価格が下落している理由

ペ・ソンウ

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「返したくても返せない!」

ロシアが最近、デフォルト(債務不履行)に陥りました。

デフォルトに陥ったということは、他国からお金を借りて、それを返済できない状況になったことを意味します。

ロシアに実際にお金がないわけではありませんが、経済制裁によって返済手段が断たれてしまったのです。

もし経済制裁がなければ、借金の利子も返済できていたはずですが、いずれにせよデフォルトはデフォルトです。

ところで、ご存知でしょうか?

8年前の状況も、現在と非常によく似ています。まるでデジャヴを見ているかのようです。

現在の状況は?

まず、現在の状況を改めて整理してみましょう。

#1. ロシア・ウクライナ戦争

ウクライナのNATO加盟の意思表明によって始まったロシアの侵攻は未だ終わっておらず、多くの「ロシア・アンチ」を生み出しています。

#2. 西側諸国の圧力によるロシアのデフォルト

返済ルート(国際金融ネットワーク)が遮断され、ロシアは債務を償還できずデフォルトに陥ることになりました。

#3. 原油価格は非常に高い水準

WTI価格は、ロシア・ウクライナ戦争勃発当時は約108ドルでしたが、現在は115ドルとなっており、

コロナ禍でマイナス原油価格まで記録したことを考慮すれば、これは極めて高い価格であると考えられます。

8年前には?

2014年には何が起こり、現在の状況と似ていると言われるのでしょうか?

ウクライナ国内の親ロシア派と政府軍の内戦に、ロシアがクリミア半島を掌握するために介入し、

ドンバス戦争が勃発しました。

現在と全く同じ、ロシアとウクライナの対立構図です。

当時はどのような対応が取られたのでしょうか?

今と同じように、西側諸国はロシアに対して経済制裁を科しました。

米国政府は、自国企業がロシア政府や企業と取引することを禁じました。

そして、資金を安心して貸せる国や企業であるかを評価する国際格付け機関(Standard & Poors)も、ロシアの国債格付けを投資不適格級に引き下げました。

するとロシアはドル不足に直面しました。米国企業と取引ができないため、ドルを調達する手段が断たれたからです。

ロシアが正常な国家として貿易を行い、必要な物資(車載半導体、各種石油化学製品など)を購入するためにはドルが必要ですが、今回のように金融ネットワークへのアクセスが遮断されたことで、交易が不可能になりました。

WTI, TradingView
WTI, TradingView

さらに、原油価格までもが高い水準にありました。

当時、WTI価格は100ドル~110ドルで推移しており、赤い矢印の部分に該当します。

青い矢印は、今回のロシア・ウクライナ戦争が勃発した時期です。

戦争による対立、経済的圧迫、ドルを必要とする状況。

状況は驚くほど酷似しています。

「原油と何の関係があるのか?」

ロシアは今すぐにはドルを必要としていないかもしれません。今回のデフォルトは、実際に資金が不足しているわけではないからです。

しかし、私たちも銀行でお金を借りる際、口座に残高があっても信用格付けが低ければ融資を受けるのが難しいように、

ロシアもデフォルトによって信用格付けが下がれば、ドルの調達が困難になります。

これで、ロシアがドルを必要としていること、そしてロシアが世界第3位の原油供給国であることは分かりました。

なぜこれほどまでに原油が重要なのでしょうか?

Post image

ロシアにとって原油とはどのような存在かと言えば、

韓国にとっての半導体のような存在です。

ロシアの2020年の輸出内訳を、1位から3位まで挙げてみると、

原油を含む燃料品目が$141.92 B(約180兆ウォン)

貴金属、鉄鉱石などが$30.36 B

鉄鉱石を利用した合金などが$16.01 B

ほどを占めました。

中間に$39.32Bほど輸出される品目がありますが、これは分類されていないその他の原材料であるため、順位からは除外します。

つまり、原油なしでは輸出額が半減します。

原油は主要なドルの供給源であり、

国際金融ネットワークから脱落すれば、唯一のドルの供給源となります。

より多くのドルが必要になる日が近づくにつれ、ロシアはやむを得ず原油をさらに売らざるを得ない状況になります。

折しも米国は原油在庫が底をつき、サウジアラビアは原油供給量の拡大に問題を抱えている今、

超大国である米国が「状況が厳しければロシア産原油を使用してもよい」とまで言っているため、原油を追加供給するためのすべての条件は満たされたことになります。

近いうちに、車のガソリン価格で冷や汗をかかなくても済む日が来るかもしれません。

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