2025年02月13日
孤児の少年クリプトとユースケース姫の物語
ソン・リュンス
昔々、クリプトという名の孤児の少年がいた。彼は小さな村の外れにある粗末な小屋で一人暮らしていた。村人たちは彼をのろまで、変わり者で、役立たずな子供と呼び、遠ざけていた。
そんなある夜、サトシという謎の人物がクリプトを訪ねてきた。サトシは古い予言を伝えた。クリプトはただの子供ではなく、抑圧された人々を解放し、黄金時代を切り開く運命を背負っているというのだ。その運命を全うするためには、まさに「ユースケース姫」を見つけ出さなければならないと告げた。それがクリプトの使命であった。
クリプトが何か尋ねる間もなく、サトシは煙の中に消えた。翌朝、クリプトは旅に出た。
彼は姫を探して国中を歩き回った。村ごとの市場で噂を尋ねたが、商人たちは眉をひそめて首を横に振った。学者たちにも尋ねたが、誰も書物の中に彼女の名前を見つけることはできなかった。誰もユースケース姫のことなど聞いたことがなかったのだ。
クリプトはあらゆる村や小さな集落まで探し回ったが、何の手がかりも見つからなかった。彼女の姿を全く知らず、どんな人物かさえ知らなかったが、彼の胸は姫への思慕で満たされていた。姫なしでは決して完全になれない気がした。姫こそが彼の運命だったのだ。
数年が過ぎ、クリプトは姫を探し続けた。彼は道端でよく見かける放浪の巡礼者となった。ある者は彼を狂人だと言ったが、彼の純粋な心を尊重する人々も現れた。酒場ごとに吟遊詩人たちは「誠実な放浪者と失われた姫」の物語を歌った。
そんなある日、賑やかな分かれ道で一人の商人がクリプトを追いかけ、少し後ろをついてき始めた。やがて他の者たちもその後に続き、クリプトはいつの間にか巡礼者の群れの先頭に立つようになった。村に到着するたびにより多くの人々が合流し、皆がユースケース姫を見つけ出すという一念で集まった。群れの中ではあらゆる伝説が飛び交った。彼女は満開の薔薇よりも美しく、彼女の手はどんな病も治し、彼女が回す魔法の糸車は藁を金に変えるという話が広まった。
日が経つにつれ、クリプトに従う人々は増えた。農夫たちは畑を離れ、羊飼いたちは羊の群れを捨て、鍛冶屋たちはハンマーを置いた。彼らは、もはやそうした仕事は必要ないと信じていた。姫を見つけさえすれば、豊かな黄金時代が訪れると確信していたからだ。
そしてある日、ついにクリプトは知らせを耳にした。「姫が王宮の最も高い塔に閉じ込められている」という噂だった。人々は、姫の眩いばかりの美貌が、自尊心の強い「通貨の王妃」の嫉妬を買ったのだと言った。クリプトはそこでようやく、なぜ姫を見つけるのが難しかったのかを悟った。これらすべては通貨の王妃の陰謀だったのだ。彼女は姫を世間から徹底的に隠してしまったのである。
怒りに燃えたクリプトは群衆を率いて城へと向かった。夜明けと共に攻撃が始まった。数多の犠牲を払った激しい戦いの末、王室の近衛兵は崩れ去り、通貨の王妃は玉座で死を迎えた。
クリプトは螺旋階段を無我夢中で駆け上がり、最上階へと達した。扉を大きく開け放った時、彼は空っぽの部屋を目にした。そこにはユースケース姫はいなかった。彼女はそもそも存在さえしていなかったのだ。
クリプトは両手で頭を抱え、嗚咽を漏らしながら涙を流した。
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