AWARE オリジナル

2022年12月28日

日本が金利を引き上げたらどうなるか?

ペ・ソンウ

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20日、日本銀行の黒田総裁が10年国債金利の変動幅を±0.25%から±0.5%に拡大すると発言しました。

日本はこれまでデフレ脱却に向けて低金利水準を維持し、金利上昇を抑制するために国債を買い入れてきた状況にあります。

国債の買い入れを継続してきた結果、日本国債の半分以上を中央銀行が保有することとなり、

今回の変動幅拡大は、買い入れによって生じた債券市場の機能低下を改善するためであるとの説明です。

日本10年国債利回り、Trading Economics
日本10年国債利回り、Trading Economics

市場はこれを「事実上の利上げ」と受け止めている様子です。金利が変動幅の上限で推移していたためです。

これに対し黒田総裁は、当該決定は金融引き締めではないと強調しました。

黒田総裁は26日、日本経済団体連合会(経団連)で、緩和的な政策を持続的に継続するためであり出口戦略ではないとして、改めて緩和策の必要性を主張しました。

今回の決定が事実上の利上げと同様の効果をもたらす可能性はあるものの、黒田総裁の任期が終わらない限り、緩和策の維持はもちろん、引き締めに関する発言さえ出ない可能性が高いでしょう。

長期間のアベノミクス推進の末、デフレ脱却の兆しが見え始めているためです。

黒田総裁の立場としては、急激に経済が崩壊でもしない限り、無事に任期を全うできるでしょう。

第101代内閣総理大臣である岸田首相もまた、「黒田総裁の任期中は決して緩和策の変更を行わない」と伝えています。

しかし、黒田総裁の任期は残りわずかです。

2023年4月8日に任期満了となる黒田総裁の後、次期総裁として予想される有力候補2名に重要な路線がかかっているという意味です。

朝日新聞によると、有力な次期総裁候補は現日銀副総裁の雨宮正佳氏、そしてもう一人の副総裁である中曽宏氏です。

両者とも緩和的な傾向を持つ次期総裁候補ですが、黒田総裁と同じ路線を歩まない確率も明らかに存在します。

「政府は、日本銀行がいかにして金融政策を正常化できるかについて、明確な考えを持つ人物を選ぶべきだ」

- 泉健太、民主党政策室長

黒田総裁が粘り強く金融緩和策を維持してきましたが、その目標はエネルギー価格の高騰により、今年になってようやく部分的に達成されました。

日本はすでに、緩和策を無期限に延長することはできないと理解しています。現在の状況が異常であることも認識しています。

岸田首相が今年5月、議員らとの会合で「総裁人事は頭が痛い」と発言したことが、これを裏付けています。

既存のアベノミクスを維持することが理想的な答えではないと、薄々気づいているようです。

日本が利上げの方向へと路線変更したらどうなるか?

日本が金融引き締め政策に転換、あるいは緩和策を段階的に縮小する姿勢を見せた場合、どうなるでしょうか。

日本の債務問題についてはすでに取り上げましたので、今回は別の側面を見ていきましょう。

現在、円の対ドル価値は1998年以来の低水準にあります。

これに伴い、日本の投資家が為替変動へのヘッジ手段として必ず保有しているものがあります。

米国債です。

円ヘッジ付き米国10年国債 (2022.07.06), Bloomberg
円ヘッジ付き米国10年国債 (2022.07.06), Bloomberg

急速な円安と米国債利回りの上昇により、米国債は日本の投資家にとって非常に魅力的な資産でした。

しかし、長年誰もが口を揃えていた「為替ヘッジ = 米国債」という公式が崩れ始めました。

黒田総裁による金利変動幅の拡大決定以降、10年国債の円ヘッジ付き利回りはその魅力を失ったためです。

重要なのは、今後日本が金融緩和を続けるという保証が全くないということです。

長期間にわたり日本の投資家が維持してきた前提が変われば、彼らは米国債を売り始めます。

日本の投資家は外国債券を売り、国内債券を買う (Bloomberg)
日本の投資家は外国債券を売り、国内債券を買う (Bloomberg)

そして日本国債を買い始めます。個人であれ機関であれ、そうする方が利益になるからです。

為替ヘッジコストよりも日本国債の利回りの方が魅力的だからです。

そして方向性までもが引き締めへと調整されれば、今後日本の投資家が保有する海外国債は、徐々に日本国債へと転換され始めるでしょう。

日本の対外証券資産は減少している一方、預金は横ばい (Bloomberg)
日本の対外証券資産は減少している一方、預金は横ばい (Bloomberg)

日本が保有する米国債の規模(世界最大規模)を考慮すれば、これが極めて大きな影響を及ぼすであろうことは想像に難くありません。

この大規模な米国債が継続的に市場に放出されるとなれば、もう一つ考えられることがあります。

米国の市場金利です。

米国債の供給が増えるにつれて国債価格は下落し、国債価格の下落に伴い市場金利は上昇することになります。

日本は去る9月22日、1998年以来初めて円安を阻止するために為替市場に介入し、

その介入を受けて、米国債10年物の金利は急騰しました。

今後、日本が継続的に米国債を売却すれば、米国企業や消費者の資金調達コストはさらに高まる可能性があるということです。

AWAREでは、FRBの利上げによる打撃を一貫して懸念してきました。

多くの経済学者が懸念する2023年が目前に迫っており、

たとえFRBが利上げペースを調整したとしても、来年の日本の状況が変数として作用する懸念を持ち始める必要があります。

黒田総裁の任期終了後、最初に迎える日本銀行金融政策決定会合は2023年4月28日です。

日本の金融政策はどのような方向へ進むことになるのでしょうか。

3行まとめ:

1. 黒田総裁退任後の日銀は、緩和的ではなくなる可能性を考慮しておく必要がある。

2. 日銀が引き締め方向へ路線変更した場合、大規模な米国債が日本国債へ転換される可能性があり、その過程で米国の市場金利は上昇する恐れがある。

3. 黒田総裁の任期終了後、最初の日本銀行金融政策決定会合は2023年4月28日である。

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