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2023年11月23日

DraftKingsの分析

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イ・ジョンヒョン

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概要

2012年に設立され、米国のプロリーグやプレミアリーグを含むファンタジースポーツおよびスポーツベッティングを運営する企業である。最初にMLBでの1対1のファンタジー対戦から始まったDraftKingsは、2013年にMLBから公式投資を受けることで成長の土台を築いた。すでに合法であったネバダ州を除く残りの州において、2018年にスポーツベッティングが合憲との決定が下されたことを受け、ニュージャージー州からスポーツブック、すなわちスポーツベッティングサービスを開始し、現在はニュージャージー州以外にも21の州でスポーツブックを運営しており、継続的な拡大の動きを見せている。これにより、米国の主要5大プロリーグであるMLB(野球)、NBA(バスケットボール)、NHL(アイスホッケー)、NFL(アメリカンフットボール)、PGA(ゴルフ)に加え、プレミアリーグや欧州チャンピオンズリーグ(サッカー)、さらにはボクシング、テニスなど、様々なスポーツのファンタジーリーグおよびベッティングを運営している。

ビジネスモデル

ファンタジーリーグとスポーツブックを中心としたビジネスの成長および拡大を図っているが、事業の特性上、スポーツリーグや様々なパートナーとの協業を通じた市場への到達およびシェアの拡大が際立っている。

ファンタジーリーグ

最初の事業であり、最も中核的な事業として、毎日および毎週開催されるファンタジースポーツ大会を通じてユーザー層を募集している。ユーザーは入場料(エントリーフィー)を支払うことで自身のチームをファンタジーリーグに参加させることができ、これらの入場料はチームごとの成績に応じて与えられる賞金プールに含まれるが、より重要な点として売上の大きな割合を占めている。単純なリーグ形式の大会だけでなく、1対1の対戦を含む50/50大会、そして大規模トーナメントなど、様々な形式の大会を主催することで多様なユーザー層の流入を促しており、ユーザーの立場からは自身の好みに合った形式と賞金単位を選択できるため、自分たちもスポーツリーグの快感を味わえるという魅力が生じる。特に毎日開催されるだけでなく、一週間にわたり継続される大会もあり、ユーザーは自分のチームに選抜した選手のその週の成績および統計を通じてチームを直接編成することができ、こうした直接的な参加要素が少なからずあるため、ユーザーにとって遥かに現実味があり、毎日・毎週チームを選んで結果を待つ緊張感およびスポーツの楽しさを伝達できるプラットフォームとなっている。

このようにユーザーの参加によって得られる入場料がファンタジーリーグの売上源であり、賞金水準およびリーグ形式によって入場料も異なるため、大金を投じる消費者と少額で楽しむ消費者層の両グループを取り込める利点がある。また、こうしたサービス方式はユーザーベースが大きくなるほど競争できるリーグや他のチームも増えるため、これによる売上上昇はもちろん、ユーザーもまた競争心やコミュニティの発達による流入と持続的な関心が生まれ、さらに大きなネットワーク効果をもたらす。そのためDraftKingsは事業拡大を目標に置いているが、毎年・毎四半期の報告書によれば、現ユーザーベースの維持およびユーザー流入に向けた継続的な努力と投資を行っていることがうかがえる。2016年には業界2位であるFanDuelとの合併を試みたが、FTC(連邦取引委員会)の独占懸念(この2社で市場の90%以上を占有しているため)により白紙となった。

スポーツブック

スポーツ大会の結果、または個々の選手の成績に対して賭けることができるスポーツブック事業は、ベッティングが合法化された2018年以降、米国内で著しい成長を見せている。そしてこの分野においてもDraftKingsが先頭を走っていると言っても過言ではない。ファンタジーリーグに次いで中核的な事業へと成長したスポーツブック事業は、2020年にDiamond Eagle Acquisition CorpおよびSBTechとの逆さ合併(SPAC合併)を通じて自社を上場させ、スポーツベッティング関連技術も買収することで、さらなる成長の足掛かりを築いた。

スポーツベッティングは、一般的なギャンブルと同様に、ユーザーが特定の試合結果、リーグ結果、選手の成績結果などに金を賭け、勝利時にその分の配当を得るギャンブルの一種である。勝利時に与えられる賞金はファンタジーリーグと同様に、他のユーザーの掛け金を集めたプールから支払われるため、ここでDraftKingsはベッティング金額の一定比率を手数料として徴収することで売上を上げる。すなわち、各ユーザーが高い金額のベッティングを行うほど収入も上がる形式である。これもまたファンタジーリーグと同様に、様々なベッティング水準に種目が分かれており、前述したように試合結果や選手成績など多様な要素にベッティングできるため、より大きなユーザー層を狙うことができる。また、ユーザーベースが拡大するほど総配当金プールも大きくなるだけでなく、これもやはりネットワーク効果を排除できないため、ユーザーの維持および流入に大きな投資と目標調整を行っている。

iGaming

いわゆるオンラインギャンブル、またはオンラインカジノであり、スポーツベッティングではないポーカー、ブラックジャック、スロットなどのクラシックなカジノゲームを提供するサービスだ。スポーツブックと同様に、DraftKingsはこうしたゲームを計400種類ほど提供し、ユーザーのアプリ内決済および参加を通じて収益を上げている。

スポーツベッティングと同様に、ユーザーはアプリ内決済を通じてゲームに使用するチップを用意し、このチップでゲームに参加して勝利した際に賞金を受け取る。ここでアプリ内決済の手数料から収入を得るほか、ベッティングされた金額の一定比率を売上として計上する。このようにスポーツブック事業が拡大する中で、万が一退屈を感じた現ユーザーやオンラインプラットフォームへ移行するカジノ事業を狙った動きと見られる。特に両分野ともまだ比較的新しい事業であり、成長の可能性が非常に大きいことを見ると、極めて肯定的な期待利益が見込めると展望される。

広告

大部分のユーザーがアプリを通じてファンタジーリーグ、スポーツブック、およびiGamingに参加するにつれ、アプリ内で表示される広告もまたDraftKingsの主要事業となった。特にこれらすべてのサービスを一つのアプリで利用でき、それによりユーザー数が多い分、アプリ内に広告を掲載すれば広告主の立場からは膨大な数の潜在顧客に会社を露出できる機会となる。特にユーザー層の情報および嗜好などのデータを広告主に送り、それに基づいたターゲット型広告を表示することで、広告主にとっても顧客化できる潜在顧客が多いため、将来の協業可能性および期待売上も非常に高い事業である。

B2Bビジネス

複数のプロスポーツリーグ(NBA、MLB、NHLなど)と協約を結ぶことで、DraftKingsはこれらの公式ファンタジーリーグパートナーとなった。これによりDraftKingsは各リーグ内で広告効果を得ることができ、反対にリーグ側としてはスポーツベッティングを含むユーザーデータ分析および各リーグ選手の分析などのソリューションを提供されることで、互いにWin-Winの効果を得ている。

また、デジタル化技術および運営的な部分をDraftKingsに任せることで、パートナー企業はブランディングとマーケティング、営業に集中できるようになり、DraftKingsは彼らの売上の一部もまた自社の売上として計上できるようになった。このようにDraftKingsは技術力とサポートを土台にパートナー企業の売上の一部を受け取ると同時に、間接的に市場への広報およびシェアを拡大する一石二鳥の効果を上げている。

企業業績

サービス業が主たる事業であるだけに、売上よりも重要なユーザー数をまず分析すると、第3四半期の月間有料ユーザー数は230万人で、前年比40%増加した数値である。月間有料ユーザーあたりの売上(ARPU)はこれにより114ドルとなり、前年比14%増加した。これによりDraftKingsはファンタジースポーツ市場でシェア1位を走っており、オンラインスポーツブック市場でも45.1%のシェアを持つFanDuelに次いで32%のシェアを占めている。また、今回の第3四半期においてiGamingを含むオンラインギャンブルサービス市場の総売上の33%を占めており、オンラインカジノゲーム部門でも急激な成長傾向を見せている。現在の事業の方向性と目標設定を見ると、確実なスポーツブックおよびiGamingの拡大を重点に、顧客層の拡散および維持を念頭に置いているものと見られる。

オンライン・スポーツブックおよびiGamingの売上シェア

これにより、2023年第3四半期の総売上高は前年同期比57%増(2億8,800万ドル増)の7億9,000万ドルとなった。これは有料ユーザーの増加による効果であり、iGamingの売上が前年同期比2億9,980万ドル増の7億6,830万ドルを記録したことが寄与していると見られる。これは最近ケンタッキー州で開始されたスポーツブック・サービス、現在のユーザーベースの拡大、そしてiGamingやスポーツブックにおける複数の種目のリリースなどを総合した効果であると思われる。また、2023年の売上予想を1,000万ドル引き上げ36億5,000万ドルに再設定し、2023年のEBITDA予想中央値もマイナス2億500万ドルからマイナス1億500万ドルへと上方修正した。このような力強い勢いを見せる中、最近の株価も52週高値を更新し、その価値をさらに高めている。

DKNGの株価推移
DKNGの株価推移

売上高の増加に伴い、EPS(1株当たり利益)も前年同期の-1.00ドルから-0.61ドルへと改善した。これはアナリスト予想の-0.69ドルをわずかに上回る数値であり、予想から大きく外れることはなかった。DraftKingsの継続的な純損失は、依然として拡大を続けているスポーツブック事業によるものと把握される。第3四半期の決算報告書によると、2022年9月以降に拡大したケンタッキー州およびその他3つの州において、依然として安定化作業が行われており、新規ユーザーベースの増加に伴う売上原価の上昇およびマーケティング費用の増加により、損失が発生しているようである。

財務諸表の概要

第3四半期の財務諸表の状況を整理すると、年初と比較して現金資産は13億ドルから11億ドルへと小幅に減少した。負債に対する指標を見ると、流動比率(Current Ratio)は1.29であり、現金および流動資産の保有水準にはリスクがある。また、負債資本倍率(Debt-to-Equity Ratio)は1.67と危険水準に近い数値であり、特にここ数年で着実な上昇傾向にあることから、負債水準に対する懸念が示される。

営業損失からも分かるように、キャッシュフローもマイナスであるが、前年と比較して今年第3四半期までは-6億6,574万ドルから-1億9,125万ドルへと、マイナス幅が大幅に縮小した。昨年はGNOGを買収したため巨額のマイナス・キャッシュフローが発生したが、今年は金融資産の収益および税金の縮小により、キャッシュフローが多少緩和されたものと把握される。特に、これ以上の買収計画はないと見られるため、現在のマイナス・フローの幅が縮小する傾向は続くと予想される。

投資アイデア

これらの状況を総合した結果、同社に対する意見は「買い」に近い。同社の主力事業が、継続的なユーザー層の流入が見込めるスポーツ界と密接な関係にあるだけに、現在進行中の複数のリーグとの協約を通じた売上上昇およびキャッシュフローの正常化が見込まれる。短期的にも長期的にも、ベッティングおよびギャンブル・サービスを拡大する傾向を通じて、さらなる成長を遂げるものと思われる。特に米国内の多くの州ではまだオンライン・ベッティングが合法化されておらず、現在、州議会や選挙公約に合法化案件が上程されていたり、通過を控えている状況にある。米国の多数の州での合法化と同時に拡張が期待され、これはすなわちユーザー層の拡大や売上上昇など、多くの肯定的な効果を意味するものでもある。また、オンライン、特にモバイルへとベッティングやギャンブル・サービスが移行し始める中で、カジノに足を運ぶ必要のないユーザーの流入は常にあると考えられ、誰でも参加できる点、またその中毒性を考慮した際、こうした面でのリスクはほとんどなく、期待利益の底値もそれほど低くはないと予想される。

また、今や焦点から外れた感のあるファンタジー・リーグだが、まだ市場拡大の可能性があり、この分野でも期待ができると見ている。国際的にファンタジー・リーグの市場規模は現在287億7,000万ドルで、2028年には549億8,000万ドルとなり、CAGR(年平均成長率)13.8%で成長を続けると見られる。その中で最も活発な北米の市場規模は現在117億ドルで、2028年には214億6,000万ドル水準となり、CAGR 12.9%での成長可能性がある。特にファンタジー・リーグはギャンブルではなく実力中心の活動として分類されるため、法的制裁を受ける確率が低いだけでなく、これにより少し「健全な」活動を求める消費者層を継続的に攻略することができる。ただし、米国内ではファンタジー・リーグも違法に分類されている州がいくつかあるため、スポーツブック関連の規制が緩和されるにつれて共に解禁される可能性を考慮しなければならない。それでもスマートフォンや様々なデジタル機器を通じて便利かつ容易に参加し結果を確認できるだけに、スポーツファンの流入はさらに容易になると見通され、北米に次いで大きな欧州市場ではサッカー、テニスなど様々なスポーツのファンタジー・リーグも導入され、より大きなユーザー層が流入すると予想される。

リスク

一般的なリスク要因としては、まず常に存在する消費者層の選好度が挙げられる。米国内で圧倒的なブランドではあるが、関係しているスポーツリーグが米国内のみに限定されていないだけに、他のスポーツ界で活動する競合他社に後れを取るリスクは常に存在する。また、ギャンブルやファンタジー・リーグは余暇活動から生まれるものであるため、経済状況によって悪化する消費者層の消費パターンにより、真っ先に打撃を受ける可能性のある産業でもある。さらに、ギャンブルに対する規制は常に世論によって変化し、合法化または違法化される可能性があるため、極端な場合、法的規制によりサービス停止を余儀なくされる状況まで考慮し得る。

また、オンライン事業が中心ビジネスであるだけに、日々変化していくデジタル・プラットフォームの世界において、変化する消費者のプラットフォーム選好度の影響を受けざるを得ない。さらに、会社自体がデジタル・プラットフォームやオンライン・サービスにおける問題が発生し得る要素が少なくないと認めている通り、外部からの攻撃や内部的なエラーによりサービスの中断や麻痺が起こる可能性があり、これは会員募集の段階でも否定的な効果をもたらす可能性がある。

しかし、これらの問題を除いても、社内でも懸念要素として表出しているマイナスのキャッシュフローも大きなリスク要因である。昨年の年次報告書基準で、純利益が出る程度の売上またはプラスのキャッシュフローを保証することはできないと発表している。また、売上の上昇が遅れる可能性があると懸念しており、これはまだ拡大中の事業により増加する費用や投資などを考慮したものであることが確認される。これに加え、以前もそうであったように、純損失が出る状況を排除できないと述べており、消費者層の活動が非常に重要なビジネスとして、活動量によって事業の売上および利益が相関すると発表している。

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