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2023年11月06日

Deckers Brands 分析

イ・ジョンヒョン     avatar

イ・ジョンヒョン

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投資アイデア

全体的に見て、Deckers Brandsは持続的な成長の可能性と安定性が見られるため、投資価値は十分にあると判断される。主力ブランドであるUGGは、毎年秋冬シーズンに安定した売上を生み出し、他のブランドの前半の業績が低調であっても、後半には常に一定水準の成果を期待させる。また、急成長中のグローバルランニングシューズブランドHOKAも、市場のCAGR(年平均成長率)の6倍以上の速さで成長しており、ランニングが日常の一部となっている世界において、HOKAのランニングシューズはランナーから非常に高い評価を受けている。さらに、昨年から継続的な自社株買いを行っており、まだ11億ドル規模の枠が残っている点を考慮すると、株主還元に積極的な姿勢が見られる。最後に、ナイキ、ルルレモン、アディダスなどの他の大手競合他社と比較して、PER(株価収益率)が25.6倍と低い水準にある。

リスク要因

会社固有の大きなリスクは見当たらないが、消費者の嗜好や全般的な経済状況によるリスクは常に存在することを認識しておくべきだろう。上記で比較した大手競合他社とは異なり、中小規模のクロックスやスケッチャーズなどと比較した場合、より高いPERを示しているが、この差はブランド価値および経営陣の能力差によるものと考えられる。

概要

Deckers Brandsは1953年にDoug OttoとKarl F. Lopkerによって共同設立されたシューズメーカーであり、現在は約156億ドルの時価総額を誇り、UGG、HOKA、Tevaなどの有名シューズブランドを保有している。設立当初は米国市場を中心とした事業拡大を行っていたが、1993年にIPOを果たし、1995年に人気上昇中だったUGGを買収したことで、国際的な企業へと成長した。現在は5つ以上のブランドを保有しており、主力のUGGを中心に事業を拡大している模様だ。

前述の通り、UGGはDeckers Brandsの主な売上を担うメインのファッション・ラグジュアリーブランドであり、2023年時点で全体売上の50%以上を占めている。次に大きいHOKAは、2010年代半ばから成長してきたパフォーマンススポーツシューズブランドであり、2023年の売上の約40%を占める成果を上げている。

この他にも、Deckers Brandsは2000年代に入り複数のシューズブランドを買収し、会社の成長基盤を築いてきたが、2015年に買収したKoolaburraをUGGのサブブランドとして位置づけたのを最後に、それ以上のブランド買収は行っていないようだ。むしろ、社内ブランドの成長およびグローバル企業としての成長を重視していると見受けられる。

ビジネスモデル

Deckers Brandsは設立以降、2010年代初頭まで主要事業であった卸売(ホールセール)に加え、2010年代半ばから拡大してきた消費者への直接販売を行うDTC(Direct to Consumer)戦略を主要な事業戦略として位置づけてきた。2023年時点で約31億ドルの売上規模を達成しており、卸売事業と共に、2010年代に入り拡大してきたDTC販売も売上の大きな部分を占めている。

チャネル別売上構成比
チャネル別売上構成比

これは2020年時点でそれぞれ65%、35%であったことを踏まえると、より直接的なマーケティングと売上戦略が効果を発揮し続けていることを示す指標と言える。

2014年の投資家向けプレゼンテーション(IR資料)によると、同社の主力事業であるUGGブランドを中心にグローバルトレンドと人気を高めながらDTC事業を拡大するという目標と、それを通じて社内の他のブランド価値を成長させる計画が予定されていた。これは2023年のIR資料において、UGGが19億ドルの売上を達成するグローバルファッションブランドとなり、Deckers BrandsのHOKAブランドもまた14億ドルの売上水準を達成するグローバルスポーツアパレルブランドへと成長したことから、ある程度の成功を収めたと言える。

また、自国市場を超えて国際市場でも善戦している様子が見られる。2023年基準でDeckers Brandsの総売上の68%は自国市場で、32%はグローバル市場で成果を上げている。国際市場のシェアを調査した結果、3,500億ドル規模の国際市場において、2022年の全シューズブランドの中でUGGは1%のシェアを占めるという結果が出た。これは1位のナイキが7%、アディダスが3%であることを考慮すれば、世界トップ10に入る成果である。

特にUGGがDeckers Brandsの中心ブランドであることを考慮した際、2010年代初頭から続いていたムートンブーツの人気低下に対し、UGGは靴だけでなくスポーツウェアなど多方面のアイテムを販売することでその人気を維持し、固有のムートンブーツのデザインをUGGのアイコニックなデザインとして確立することに成功した。また、DTC事業を拡大することで、もはや卸売販売だけでなく、直営のリテールストアを全国および世界のラグジュアリーモールに出店し、その人気とブランド価値を成長させてきた。

特にUGGは、10代や20代に人気のあるデザインと快適な履き心地により、毎年秋冬に安定した売上を上げるブランドとしての地位を確立した。しかし、靴の特性上、春夏に需要が落ちるムートンブーツよりも、スポーツおよびパフォーマンスシューズを中心に売上を上げるHOKAもまた、Deckers Brandsの年初の売上を支えていると見られる。

Deckers Brandsは今後、DTCビジネスを拡大しグローバル成長を目標に掲げているだけに、グローバル直営店および百貨店への出店を継続的に成長させる計画のようであり、特に季節の影響を受けるUGGを除くHOKAおよび他の傘下ブランドをさらに成長させる計画と見られる。これはもはや靴だけでなく、多様なスポーツウェアやカジュアルウェアと共に展開することで、その人気とトレンドを維持し、市場シェアもさらに拡大できる可能性が十分にあると考えられる。

企業業績

最近の業績に焦点を当てると、先日発表された第2四半期(FQ2)の決算報告では、総売上が前年同期比約24.7%増の約11億ドル水準に成長したと発表された。EPS(1株当たり利益)は前年同期比79%増の6.81ドルとなった。これはアナリスト予想の11.89ドル水準には及ばない結果であった。これは秋冬に備えて人気が再上昇するUGG、および春から着実な売上増を記録していたHOKAブランドの売上シェアが大きかったためと確認される。特にアーニングコールでも示されたように、HOKAのDTCチャネルを通じた売上が成長に大きく寄与したことが確認できる。

UGGは前年比で売上が28.1%増の6億1000万ドル、HOKAは27.3%増の4億2000万ドルと好調な伸びを見せた。一方、Tevaは28.4%減の2150万ドル、Sanukは28.5%減の540万ドルと売上を落とした。Koolaburraを含むその他のブランドは、合計で7%増の306万ドルを記録した。

これは小売価格が継続的に2桁台の伸びを見せていることに関連しているとの発表もあったが、秋に向けた卸売(ホールセール)の流通需要が大きかったことも重なり、結果としてさらに大きな上昇幅となったようだ。

国内および海外売上はいずれも増加したが、21.1%増の7億5000万ドルとなった国内売上に比べ、33.3%増の3億4000万ドルとなった海外売上のほうが伸び幅が大きいと言える。

DTC(消費者への直接販売)および卸売ベースの売上も増加傾向を示した。DTC売上は38.8%増の3億3000万ドル、卸売売上も19.4%増の7億6000万ドルとなった。

売上総利益率も5.2ポイント上昇して53.4%を記録し、堅調かつ力強い成長を見せた。

今四半期、Deckers Brandsは34万7000株の自社株買いを実施し、その価値は1億8500万ドル相当に上る。これにより承認済みの自社株買い残存枠は11億4600万ドルとなった。同社がSanukブランドの売却意向を示していることを踏まえると、これは新たなブランド買収に向けた準備の動きとも受け取れる。また、UGGについては安定した1桁台の成長を予想している。一方、成長余地がまだあるとされるHOKAについては、新商品の発売が予定されている第4四半期の業績が第3四半期を上回ると予想されており、引き続き20%以上の成長率を維持するとの見通しが示された。Tevaブランドについては、景気減速のトレンドに伴い成長が鈍化すると発表された。

さらに、複数のアナリストがDeckers Brandsの目標株価を相次いで上方修正しており、「買い」の推奨を継続している。これは先週から今週にかけて続いている2桁台の株価上昇と、市場予想を上回る四半期業績を反映した調整と見られる。加えて、Deckers Brandsは2024年の予想一株当たり利益(EPS)を23.50ドルから24.10ドルに引き上げ、2024年の売上高見通しも40億ドル規模へと上方修正した。

企業の財務諸表分析

2022年と2023年の財務諸表を比較すると、現金資産は9億8000万ドルと約1億5000万ドル増加しており、今年の第2四半期の指標では前年同期比で約2倍となる8億2000万ドルまで増加した。在庫も7億2000万ドル相当となり、前年の9億2000万ドルから減少したようだ。今四半期には34万7000株の自社株買いも実施しており、現金資産の積み増しを含め、新たな企業買収に向けた動きであると解釈できる余地がある。

キャッシュフローは昨年の減少傾向から一転して増加したと見られる。2021年の現金資産の水準には及ばないものの、コロナ禍以降、極めて急速な成長を続けていると判断できる。

同社の流動比率は3.84と資産の現金化能力が極めて高く、負債比率も0.21と、負債に対する資産運用が円滑であることを示している。また、負債資本比率(DEレシオ)も0.45と競合他社に比べて非常に良好な数値を示しており、総合的に見て極めて強固な財務基盤を有していると判断される。

Deckers Brandsの主要な競合他社を調査すると、コロナ禍以降、同様の売上およびキャッシュフローの推移を示しており、これらの指標が同社特有の現象であると断定することは難しい。しかし、CROCSやSKECHERSといった他の競合他社と比較した場合、株価やバリュエーションが非常に高く評価されていることが確認できるため、その点には多少の留意が必要であると思われる。

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