2023年11月17日
小型株の終焉
イ・ジョンヒョン
本記事は、Chris Satterthwaite氏によるThe Death of Small Cap Equities?を翻訳し、著者の考察を加えたものである。
Furey ResearchのJeff Burton氏は最近、「小型株の死(The Death of Small Cap)」と題した記事の中で、過去40年間にわたる小型株のパフォーマンス低迷と、ラッセル2000指数の質的悪化を強調した。
最も興味深かった点は、時間の経過とともに指数内で収益性の低い企業の割合が増加し、その結果として企業の質が低下しているという事実だ。このような傾向が特定のセクターに限られたものなのか、あるいは大型株や米国以外の株式にも当てはまるのかという疑問が湧いた。
最初の分析では、現在の時価総額が4億ドルから40億ドルの間、または過去の時価総額別パーセンタイル順位に基づいて定義された「スモールキャップ(小型株)」米国企業について、セクターごとの経時的なクオリティ指標である総収益/資産(GP/A)を調査する。収益性の低い製薬およびバイオテクノロジー(BioTech)株の比重が、1995年のスモールキャップ株の5%から2021年には16%へと3倍も急増した点を考慮し、ヘルスケア産業を完全に除外することにした。このような構成比の変化による影響を除いた場合でも、依然として質の低下が続いているのかを確認したい。下のチャートは、セクター別の米国小型株GP/A(売上総利益/資産)への寄与度を示している。
最も注目すべき点は、2010年代初頭から現在に至るまで、小型株のクオリティが全体的に低下していることだ。最も大きな影響を受けたセクターは、IT、一般消費財、資本財などであると見られる。
大型株(時価総額100億ドル以上、またはそれに相当する歴史的パーセンタイルで定義)の場合でも、総収益/総資産(GP/A)が低下する傾向が続いており、驚きをもたらした。しかし、注目すべき例外はIT分野であり、メガキャップIT株の収益性拡大に支えられ、大型株の利益の質が大幅に向上している点だ。大型株の中でクオリティに最も大きな悪影響を及ぼしたのは、生活必需品と資本財におけるGP/Aの低下である。
このようなクオリティ低下の傾向は、米国で最も顕著に見られる。日本や欧州市場を見ると、大型株と小型株の双方において、はるかに安定的、あるいは改善の兆しさえ見られる。特に日本は、同期間において安定した総資産利益率(GP/A)と印象的なROAの増加傾向を示した。
こうした質的傾向の違いを考慮すると、米国の大型株が他国に比べてプレミアム付きで取引されている一方で、米国小型株の中央値は欧州と同程度であり、日本に比べてプレミアム付きで取引されている点は注目に値する。各地域および規模グループ別のGP/AおよびEV/EBITDAの中央値は、以下の図4と5に示されている。
上の表からわかるように、現在、米国の小型株は大型株に対して40%割引された価格で取引されており、小型株の質的低下が低いマルチプルに反映されているというのはもっともらしい。しかし、米国小型株が低い株価収益率にもかかわらず、欧州と同程度で取引され、日本に比べてプレミアムが付いている理由は依然として疑問が残る。
米国のバリュエーション・プレミアムは、米国の高い売上成長率では説明がつかないように思われる。2023年10月31日時点で、米国のLTM(直近12ヶ月)売上成長率の中央値は5%であるのに対し、欧州は9%、日本は11%であった。
Verdadの継続的なリサーチを追っている読者であれば、彼らが小型株の信奉者であることをご存知だろう。ここで「小型株の死」というのは大きく誇張されていると考えるが、米国外の地域において、より低い価格でより高いクオリティを見出すことができると信じている、として本稿を締めくくる。
本記事で使用されたすべてのグラフの出所は、原本に記載されているCapital IQおよびVerdad analysisである。
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