2023年11月15日
米国における信用貸付延滞率の推移
イ・ジョンヒョン
ニューヨーク連邦準備銀行は最近、今年第3四半期の家計債務および信用に関する四半期報告書を発行した。本稿では、この報告書のいくつかの重要ポイントについて取り上げたい。
第2四半期に見られた小幅な増加に比べ、今回の第3四半期における全体的な家計債務は、前四半期比2,280億ドル、約1.3%の増加傾向を示した。これにより総額17兆2,900億ドルに達した債務の内訳は、前四半期比1,260億ドル増の12兆1,400億ドルの住宅ローン(モーゲージ)、90億ドル増の3,490億ドルのホームエクイティローン(住宅担保信用貸付)、480億ドル(4.7%)と大幅に増加し1兆ドルとなったクレジットカードローン、130億ドル増の1.6兆ドルの自動車ローン、そして300億ドル増の1.6兆ドルの学生ローンに大別される。
第3四半期の住宅ローン組成額(オリジネーション)は、第2四半期に比べ小幅下落の3,860億ドル規模であり、兆単位で推移していた2020年や2021年の規模に比べると非常に低い水準である。新規自動車ローンは総額1,793億ドルと小幅に上昇した。新規ローンは全般的に高い信用度を基盤に組成されたと評価される。新規ローンの中で信用スコアが620点以下であった住宅ローンと自動車ローンが全体に対しそれぞれ4%および16%であること、また信用スコアの中央値がそれぞれ770点および719点であることを考慮すると、非常に高い信用度を示していると言える。
今回の報告書でニューヨーク連銀が重点的にハイライトしたのは、まさに延滞率であった。全体債務に対し約3%が30日以上の延滞に該当することが把握された。これはコロナ禍前の2019年度に比べれば低い数値だが、数四半期にわたり続く上昇傾向を考慮すると、十分に懸念すべき事案となる。最近まで続いていた学生ローン免除および一部期限の猶予措置による学生ローンを除き、残りのすべての分野で延滞率が増加した。2021年度には連邦支援金などによるローン返済および延滞期限の延長が行われ、過去最低の延滞率が記録されたが、コロナ禍が過ぎた現在、連銀は延滞率の上昇を予想していたと発表したものの、これほどまでの上昇は予想していなかったようだ。
特にクレジットカードおよび自動車ローンの延滞率が最も大きく増加し、連銀の注目を集めることになったようだ。自動車ローンはそれでも最近になって増加率が安定化する傾向(7.4%で前四半期比0.1bp増)にあるが、クレジットカードローンの延滞発生率は8%で0.8bp増加し、全部門を通じて最も激しい増加傾向を見せている。
特にミレニアル世代(1980~1994年生まれ)、すなわち30代のクレジットカード保有者の延滞率の割合が、コロナ禍前の2019年度に比べ最も高かったことが見て取れる。またZ世代、すなわち1995~2011年生まれの延滞比率も高いように見えるが、これはコロナ禍前の平均と比較して同程度の水準であるため、今回の信用貸付延滞率増加の大部分は、30代の延滞率増加によるものであることが確認された。
次に、クレジットカード残高が高いユーザーほど延滞率も高いと把握されているが、これに該当するクレジットカードユーザーの割合がそもそも6%に過ぎないことを考慮すると、大きな影響はないと判断される。また、残高が高いほど延滞確率が高まるため、それ以上に特別な原因や影響要素はないだろう。
最後に、クレジットカード延滞者のうち他のローンを抱えているユーザーを調査した結果、これもまた他のローンがある場合、そのすべてのローンについて返済が困難になることが予想されるため、学生ローンおよび自動車ローンをすべて保有している多重債務者の延滞率が最も高いことが確認された。
しかし、第3四半期の経済状況が特に悪化しなかった点や、雇用市場も大きな変化を受けていない点を考慮すると、このようなクレジットカード延滞現象を説明する明確な原因を把握することは、現時点ではまだ困難である。
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