2024年10月16日
ASML 16%台の暴落、半導体投資家はどう受け止めるべきか
ソン・リュンス
ブルームバーグ通信によると、オランダに拠点を置く世界最大の半導体製造装置メーカーASMLが、日本時間15日未明、翌日に発表予定だった第3四半期の決算を早期に公開するというミスを犯した。同社によると、技術的な問題により実績が予定より早く公開されたという。
問題は発表内容であり、第3四半期に確定した受注予約がアナリスト予想(58億ユーロ)を大幅に下回る26億ユーロを記録したことだ。米国のエリートブティック投資銀行であるジェフリーズ(Jefferies)の株式アナリストが、決算公開の数時間前にASMLの受注予約に対して肯定的な論評を含むレポートを発行したのも虚しく、予想の50%を下回る新規受注量は、半導体業界の回復全般に対する疑念を呼び起こし、株価は16%下落して過去26年で最大の下落幅を記録した。エヌビディア(NVDA)とマイクロン(MU)もまた、それぞれ4%と3%台の下落となり、半導体セクター全般的に調整を見せた。
すでに「中国への輸出禁止が原因のようだ」などの憶測が飛び交う中、筆者はASMLやアプライド・マテリアルズ(AMAT)のような半導体製造装置業界の実績鈍化は予告された状況であり、これは半導体セクター全般の問題ではないと主張したい。これは代表的な半導体製造装置の顧客であるTSMC、サムスン電子、インテルなどのCAPEX(設備投資)支出計画を見れば答えが出る問題だ。
現在、世界1位のファウンドリ企業であるTSMCを除いた半導体業界の巨人であるサムスン電子とインテルは、ファウンドリ部門において顧客確保の失敗および歩留まり問題による低い稼働率の問題を抱えており、これにより予定していた工場の新設を延期している。半導体工場の建設にかかる費用の90%近くが装置への投資金であることを勘案すると、これは装置メーカーの売上の不確実性につながる要素である。
2022年に半導体の冬が到来したにもかかわらず工場の増設を続けたサムスン電子とインテル、そして中国の半導体企業によって好実績を続けてきた半導体製造装置メーカーが、2024年末に入ってようやく持続不可能な需要に対するツケを払っているのだと解釈するのが正しい。
サムスン電子は2030年までにファウンドリ部門を含む総合半導体世界1位という非現実的な目標設定を達成するため、顧客確保もできないまま保有している100兆ウォンほどの現金で投資を続け、インテルの場合、米国政府の補助金および低金利融資を武器に新規工場計画を無理に発表した。中国の半導体メーカーは、米国の半導体輸出規制を避けるために莫大な補助金を基盤に半導体製造装置を注文した。
筆者が数回警告したように、サムスン電子のファウンドリ事業部は5nm以下の先端プロセスにおいてTSMCに対し完全に競争力を喪失した姿を見せており、インテルは自社の最新CPUの競争力を回復させるために事業部を分離した後、TSMCに委託生産する戦略をとっている。それにもかかわらず、マージンが最も高いデータセンター向けCPU市場でAMDにシェアを徐々に奪われているため、自社ファウンドリの稼働率が回復する兆しは全く見えていない。
これにより、アップル、クアルコム、エヌビディア、AMD、インテルなど世界最大の半導体設計企業の最先端半導体生産量を事実上独占したTSMCは、稼働率の上昇および価格交渉力の優位を通じて高い売上総利益率を享受しており、CAPEX支出もまた当初計画された範囲の上限を維持している。
結論として、過去2年間の半導体業界の無分別な過剰設備投資により、ASMLを含む半導体製造装置メーカーが高い成長率を記録できたのであり、現実的なROI計算なしに注文を入れたサムスン電子とインテルという2つの製造企業が崩れ、販売先が減少し価格交渉力を失っていく過程であると判断される。非理性的だった半導体製造装置市場が正常化する過程を、再び訪れた半導体業界全体の冬だと拡大解釈する必要はなさそうだ。
反対に、TSMCの場合、高い先端プロセス製造競争力を基に顧客との価格交渉力で優位を占めているが、調達側面でも交渉力が高まり、高い利益率の維持あるいは上昇が予想される。
*関連して話を交わしたサムスン電子のパクOO氏に感謝の言葉を申し上げる。
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