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2022年11月01日

太陽光、バッテリー、電動化…最後に笑う企業は別にある!

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ソン・リュンス

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1848年、カリフォルニアで最初の金脈が発見され、歴史的に有名な「ゴールドラッシュ」(California Gold Rush, 1848~1855)が始まった。

米国各地から金を採掘するために人々が押し寄せ、この人波によって、かつて白人が住んでいなかったカリフォルニアの地に道路ができ、家が建ち、学校が作られた。

そして、巨万の富を得る者たちが誕生することになる。

金を掘った人々が金持ちになったのだろうか?

残念ながら、この質問には「ノー」と答えるしかない。平均して半数程度が「それなりの」収益を上げたものの、ゴールドラッシュの後半に到着した人々は、ごくわずかな収益しか上げられないか、あるいは損をしたと言われている。

2020年から2021年にかけての株式・暗号資産(クリプト)・不動産市場の暴騰を経験したMZ世代が、今年になって遅ればせながら借金をしてまで無理に投資を始めたことと、さほど変わらないと言えるのではないだろうか…?

ゴールドラッシュと2022年の資産市場が共通して教えてくれるのは、「終電(ブームの終わり)に乗っても手遅れだ」ということだ。筆者もまた、スタートアップという「終電」に乗ってしまったような感覚を覚えることが時々ある。(新韓銀行 110-492...)

一体誰が金持ちになったのか?

カリフォルニア・ゴールドラッシュについて研究した学者たちは、金を掘りに来た鉱夫たちではなく、商人たちがはるかに多くの金を稼いだことを裏付けている。

ゴールドラッシュ初期、カリフォルニアで最も裕福だった人物はサミュエル・ブラナン(Samuel Brannan)であり、絶え間ない自己宣伝、商店主、新聞発行人として有名だった。彼は最初にサクラメントに店を開き、その後、他の金脈地にも次々と店舗をオープンさせた。

ゴールドラッシュが始まるとすぐに、彼はサンフランシスコで購入できるあらゆる装備を買い占め、途方もない利益を上乗せして、金を求めてカリフォルニアにやってきた外部の人々に転売した。

もう一人、富豪となったのはリーバイ・ストラウス(Levi Strauss)で、デニムで作られたジーンズや各種衣類を1953年から販売した人物だ。私たちが知る、あのリーバイス(Levi's)ブランドの始まりである。

この他にも、小売、運送、エンターテインメント、宿泊、クリーニング業など、様々な分野で成功したビジネスマンが輩出され、売春業もまた活況を呈していたという。

結局、人々を集めることになったコンテンツ(?)は金脈であり、そうして集まった人波が必要とするものを売る実業家たちは、巨万の富を築くことができたのだ。

カリフォルニア・ゴールドラッシュは2021年のクリプト(暗号資産)を想起させるが、このようなビジネスモデルは、歴史が絶えず繰り返されても持続するということが分かる。

金を稼ぐにはどうすればよかったのか?

金を掘りに行く代わりに、シャベルとジーンズを売るべきだ。

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ブルームバーグNEFによると、2021年に2500万トンに達した世界の精錬銅需要は、2040年までに4000万トンまで増加すると予想されている。

これは約60%の増加であり、CAGR(年平均成長率)では約2.64%の増加となる。

「えっ、年間2.64%しか成長しないの?」と反問するかもしれないが、銅の採掘は制度的に困難であるため、供給が現在の需要さえ満たせていない状況にある。

フィナンシャル・タイムズの Copper bosses warn of supply threat to climate ambitionsという記事でインタビューに応じた、米国の鉱山会社フリーポート・マクモラン(Freeport-McMoran)のCEO、リチャード・アドカーソン(Richard Adkerson)氏は、

「世界的に展開されている電気自動車(EV)の生産拡大、再生可能エネルギー、送電線延長プロジェクトは銅の需要を急増させており、『極めて深刻な供給不足事態』が起きるだろう」と警告した。

コンサルティング会社のウッドマッケンジー(Wood Mackenzie)は、今後10年間で未承認の銅鉱山プロジェクトから年9700万トンの追加供給が必要であるとし、「これほど大きな供給不足が克服されたことは過去にない」と警告した。

彼らは新しいプロジェクトを進めるために年間230億ドルの投資が必要だと試算しており、これは過去30年間の平均より3分の2ほど高い金額である。

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エネルギー転換において供給が不足している鉱物は銅に限らない。現在生産されている二次電池の大部分を占めるリチウムイオン電池を作るためにはリチウムが不可欠だが、リチウムもまた需要に対し供給が大幅に不足している状況であり、主要自動車メーカーがEV生産への投資を増やすにつれ、今後の需要は継続して急増する予定である。

テスラ(TSLA)は昨年末、世界最大の鉱山企業であるグレンコア(Glencore)の株式を10〜20%ほど取得する協議を進めていた。

鉱業が環境に悪影響を及ぼすというイメージを考慮すれば、驚くべき議論でしかない。(もちろん、そのためか、最終的に株式取得は決裂したと見られる)

グレンコアはバッテリー生産に不可欠な希土類(コバルト)の世界最大の供給者であり、2年前にテスラは未採掘の希土類に関する供給契約を締結した。

CEOのマスク氏はまた、ツイッター(Twitter)を通じて

「コストが上昇し続けるなら、テスラは採掘・精製事業に直接参入せざるを得なくなるかもしれない」

イーロン・マスク

と述べ、現在のバッテリーのサプライチェーンがテスラの需要に追いついていないことを吐露した。

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2018年以降、EV産業に投じられた総投資額は2000億ドルを上回り、バッテリー生産には1000億ドル(約14兆円)が投資されたのに対し、同産業を支えるための原材料生産への投資はわずか300億ドルにとどまった

電気自動車、再生可能エネルギー、電動化事業のためのインフラは改善が進んでいるが、肝心のそこに投入すべき材料の供給が圧倒的に不足しているのだ。

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こうした傾向は、キャタピラー(CAT)の株価を見れば明らかだ。今年25%以上下落したS&P 500に対し、最近の急上昇のおかげで今年もプラスのリターンを記録しているが、その裏には確かな業績がある。

キャタピラーは、建設・鉱山機械、ディーゼルおよび天然ガスエンジン、産業用ガスタービンを製造・販売する企業である。今年は毎四半期、業績予想を上回る結果を示してきた。

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同社が発表した小売売上データを見ると、Resource Industries(RI)部門で最も高い10%の成長を記録したことがわかる。同社の説明によれば、RI部門は

「当社のResource Industries部門は、主に鉱業、重機建設、採石および骨材分野で機械を使用する顧客をサポートする責任を負っています」

と説明されており、鉱業へのエクスポージャーが非常に高いことがわかる。

今年、テスラなどのEVメーカーの株価が暴落したことを考えると、「EVラッシュ」で実際に金を稼いだ企業は別にあったということがわかる。

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